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CHAPTER 04 / 全10章

原状回復は、何をどこまで負担するのか

住んだ年数や、傷があるという事実だけで費用は決まりません。原因、直す範囲、設備の年齢を一つずつ見ていきます。

第4章 / 10
この章で覚えておくこと

「借主負担になる原因か」と「請求額は妥当か」を分けると、判断しやすくなります。

原状回復は、部屋を新品に戻すことではない

普通に使っていて生じる傷みが「通常損耗」、時間の経過による色あせや劣化が「経年変化」です。故意に壊した場合、不注意で傷つけた場合、必要な手入れや連絡を怠って被害を広げた場合は、借主負担が問題になります。

まず原因、それから範囲・年数・金額

  1. いつ、なぜ生じたか入居前からか、普通に使った結果か、不注意や手入れ不足か。
  2. 何を、どこまで直すか部分補修で済むか、張替えが必要か。実際の施工範囲と借主負担の範囲は同じとは限りません。
  3. どれくらい使われてきたか入居年数だけでなく、その壁紙や設備の設置・交換からの年数を確認。
  4. 契約と内訳を確かめる特約、面積・数量、単価、負担割合、工賃等を照合します。

壁・床・設備の見方

以下は国交省ガイドラインの一般的な整理です。実際の原因、損傷の程度、契約・特約によって結論が変わります。

壁紙・クロス

日照による変色、通常のポスター跡、下地の張替えを要しない画鋲の穴等は、通常損耗等と考える例。下地の交換を要するねじ穴、喫煙のヤニや臭い、手入れ不足で拡大したカビ等は借主負担を検討する例です。

借主が傷つけた場合でも、ガイドラインは㎡単位が望ましいとし、やむを得ない場合は傷を含む一面までとする考え方を示します。小さな傷だけで部屋全体の張替え額が当然に借主負担になるわけではありません。

床・フローリング

家具を通常設置した跡・へこみや日照による色落ちと、搬出時の引っかき傷、飲み物を放置したシミ等を分けます。フローリングの部分補修では、ガイドラインは経過年数を考慮しない整理です。全面にわたる損傷で床全体を張り替える場合は、建物の耐用年数を使う考え方があります。クッションフロアと同じ扱いにはしません。

設備・水まわり・鍵

エアコン等の寿命による故障と、不適切な使用や手入れによる故障は分けます。設備ごとに耐用年数が異なるので「全部6年」とは考えません。水垢やカビも原因・清掃状況・建物の構造等を確認。鍵の紛失による交換と、紛失も破損もない入居者交代時の交換も区別します。

確かめ方の具体例

「壁紙の張替え一式」とだけ請求されたら、「どの傷が対象ですか」「一面なのか全室なのか」「最後に張り替えたのはいつですか」「借主の負担割合はどう計算しましたか」と順に聞きます。最初から値引き額を提示するより、同じ材料で話し合えます。

請求が損害賠償として説明される場合も、契約違反、借主に責任を問える事情、損害とのつながり、範囲を確認します。民法415・416条が基本になります。明細の読み方へ →

この章の根拠・公的資料

確認日:2026年9月25日。法律・ガイドライン・契約モデルを区別して参照しています。

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一般的な居住用賃貸住宅の手引きです。個別の負担は契約・特約・物件・事実関係により異なります。判断に迷ったら相談先へ。