CHAPTER 06 / 全10章
敷金は「預けたお金」。精算の流れを知る
敷金が返ってこないときも、まずは預けた額、差し引かれる項目、返金予定を整理しましょう。総額だけでは判断できません。
契約終了と明渡しを確認し、敷金から何を差し引いたのか、明細で確認しましょう。
敷金は、何のためのお金?
敷金は、家賃など賃貸借に基づく借主の金銭債務を担保するために、貸主に預けるお金です。「保証金」という名前でも、同じ性質のお金なら敷金に当たります。礼金など、返還を予定しない別の費用とは分けて確認しましょう。
精算は、3つの金額に分ける
控除の対象には、未払い家賃や、借主が負担すべき原状回復費、契約に基づく費用等が入り得ます。それぞれの根拠と金額を確認します。精算対象の債務が敷金を超えれば追加の支払いが必要になることもあります。敷金ゼロの物件でも、退去時の負担がゼロになるとは限りません。
敷金80,000円、確認して合意できた控除が清掃費33,000円と借主負担の補修費7,000円、ほかに債務がなければ、返還残額は40,000円です。大切なのは引き算より先に、33,000円と7,000円の根拠を確認することです。
敷金が返ってこないときの確認順
- 契約終了と明渡しを確認鍵の返却日と受領記録をそろえる。
- 預けた額を確認契約書、領収書、振込記録を見る。敷引き・償却の条項も確認。
- 精算明細を求める控除項目、金額、契約・損傷の根拠を分けてもらう。
- 返還日・口座を確認契約の返還時期と実際の送金予定を聞き、記録を残す。
民法622条の2は、どの契約でも「退去後○日以内」と一律の返還日数を定めているわけではありません。契約の返還条項を確認し、遅れているなら理由と予定日を尋ねます。国交省の標準契約書は、明渡し後、残額を遅滞なく返還し、控除する債務の内訳を明示するモデルを示しています。実際の契約との違いも確認してください。
控除の一部だけに疑問がある場合も、「全額が不当」とひとまとめにせず、項目を特定して説明を求めます。連絡がつかない、返還の見通しが示されない場合は、相談先の章にある資料をそろえましょう。
この章の根拠・公的資料
確認日:2026年9月25日。法律・ガイドライン・契約モデルを区別して参照しています。
- 法律民法|e-Gov法令検索 ↗
第415・416条(損害賠償)、第606・615条(修繕・通知)、第617・618条(解約)、第621条(原状回復)、第622条の2(敷金)。公式APIの現行本文と照合。
- 契約のモデル賃貸住宅標準契約書|国土交通省 ↗
平成30年3月版・家賃債務保証業者型の公式掲載ファイルを確認。2024年12月の特約例追加等を含む案内。第6・11・14・15条を参照。利用が義務付けられた契約書ではない。
- ガイドライン原状回復ガイドライン Q&A[PDF]|国土交通省 ↗
Q1(記録)、Q3・5(特約)、Q6・9(敷金)、Q7(クロス)、Q10(管理)、Q13(単価)、Q18(経過年数)。古い資料の法制度説明は現行法令で補足。
- 法律消費者契約法|e-Gov法令検索 ↗
第9条第1項第1号・第2項(解約に伴う違約金等)、第10条(消費者の利益を一方的に害する条項)。適用要件と個別事情の確認が必要。