WORLD PHILOSOPHY · PART 06 / CHAPTER 21

第21章
現象学と分析哲学の新しい方法

経験と言葉を、もう一度見る。

19〜20世紀ヨーロッパ・英語圏志向性・論理・言語ゲーム

経験と言葉を、もう一度見る。

この章の人物・伝統:フッサール、フレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタイン
01 / HISTORY & QUESTION

歴史と問い

経験のあり方を記述する

現象学は、ものがどのように経験に現れるかを吟味します。フッサールは、意識が何かに向かう志向性を重視し、普段当然としている立場をいったん括弧に入れる方法を論じました。これは世界が存在しないと証明することではありません。経験の意味や成立を、見慣れた前提から一歩離れて調べる方法です。

身体と世界

メルロ=ポンティは、身体を単なる外的な物としてでなく、世界との関わりを生きるあり方として考えます。見る、歩く、道具を使うという経験は、心の内部だけに閉じた表象ではありません。経験の記述が、心理学や自然科学の説明とどう異なり、どう関わるかも検討の課題になります。

論理と言語を明確にする

フレーゲは論理と数の基礎を、ラッセルは命題や記述の構造を精密に検討しました。名前や文章の見かけの形を、論理的な役割と同じとみなしてよいでしょうか。意義と指示対象の区別は、同じ対象を指していても理解の仕方が異なりうることを考える手がかりになります。

ウィトゲンシュタインの変化

初期のウィトゲンシュタインは命題と世界の構造の関係を論じ、後期には言葉が生活の中でどのように使われるかへ目を向けました。言語ゲームや家族的類似は、すべての語に一つの固定した本質を求める姿勢を問い直します。彼の思想の変化を、初期の標語だけで代表させないように読みましょう。

02 / READ DEEPER

議論を深く読む

現象学は内面への閉じこもりか

現象学の志向性は、意識が何かに向かうという構造に関わります。内面にしか世界がないと決める話ではありません。エポケーは、世界についての通常の判断の置き方を変え、何がどのように与えられるかを調べる方法です。記憶、知覚、想像で同じ対象がどう現れるかを比較すると、経験の細かな構造が見えてきます。

意味と指示を分ける

同じ対象を指す二つの表現でも、知識の内容が異なる場合があります。フレーゲの意義と指示の区別は、この差を考える道具です。論理と数学の基礎を問う仕事から、日常の言語の問題まで広がります。分析哲学を言葉遊びと呼ぶことも、すべての哲学的問題を形式記号に変える一枚岩の運動と呼ぶこともできません。

言葉の使用へ戻る

後期ウィトゲンシュタインでは、言葉が実際にどんな活動の中で働くかが問われます。「ゲーム」に一つの共通の本質を求めたとき、さまざまな類似が重なっているだけの場合を考えます。言語ゲームは、真理が好き勝手でよいという主張の別名ではありません。規則、理解、公共的な使用の条件が問題になります。

03 / THE ARGUMENT

論証の筋道

この章の議論を読むための整理です。原典の論証をそのまま逐語的に再現したものではありません。

  1. 現れの違いを記述する

    物を実際に見ること、思い出すこと、想像することを比較する。対象が同じでも、与えられ方は同じではない。

  2. 表現の働きを区別する

    表現が指すものと、どのようにそのものを提示するかを分ける。文の情報の違いを、文字数だけで説明しない。

  3. 使用の場へ戻る

    定義だけから語の意味を決めず、何をするときにどう使われるかを見る。規則に従うことがどんな行為かも問いになる。

04 / QUESTIONS THAT REMAIN

反論と残る問題

厳密さは一つの方法か

形式化が明確にする点と、生活の中の使用の記述が明らかにする点は違います。現象学と分析哲学の歴史には交流と対立があり、二つの地域が永久に分断されていたという図式では捉えきれません。

05 / RETURN TO THE TEXT

原典を読む

読む場所と読みどころを示します。「研究解説・文献案内」のリンク先は原典本文ではありません。邦訳の書名、章番号、訳語は版によって異なる場合があります。

PRIMARY READING

「意義と指示について」

ゴットロープ・フレーゲ · 1892年

読む場所:冒頭の同一性の問題

a=aとa=bの認識上の差から、意義と指示の区別への移行を追う。日常語の「意味」と区別する。

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PRIMARY READING

『哲学探究』

ウィトゲンシュタイン · 1953年(死後刊行)

読む場所:第1部・第1〜43節、第65〜71節

言語の像、使用、家族的類似を読む。一つの標語で作品全体の問題を終わらせない。

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章節・翻訳・話者を確かめる:原典の読み方 →

06 / THINK FOR YOURSELF

自分で考える

YOUR REASONING

同じ言葉を使っていても、互いに理解できていないことを、どのように確かめられるでしょうか。

自分の主張、支える理由、最も強い反論を書き出してみてください。一つの正解を選ぶ問いではありません。

07 / TERMS & DISTINCTIONS

用語の確認

意味を確かめたい項目だけ開いてください。本文で論じた文脈に即した短い説明です。

フッサール

フッサールは意識と経験のあり方を、独自の方法で検討しました。

確認する論点:現象学の創始者として知られる人物は

志向性

志向性は個人の将来の目標という日常的な意味だけではありません。

確認する論点:意識が何かについての意識であるという構造は

エポケー

現象学のエポケーは、古代懐疑主義との関連はあっても同一の理論ではありません。

確認する論点:フッサールの、当然の前提への判断をいったん差し控える方法は

経験の成立を吟味するため前提を括弧に入れる

断定を差し控えることと、否定を証明することは異なります。

確認する論点:現象学的エポケーの目的として適切なのは

メルロ=ポンティ

身体は世界と関わる生きられたあり方として重要です。

確認する論点:『知覚の現象学』で身体と世界を論じた人物は

世界との関わりを生きる身体

身体の経験は、単なる内部の観念と外部の物の二分だけでは説明しきれません。

確認する論点:メルロ=ポンティの身体の理解として適切なのは

フレーゲ

論理的な構造を、日常の文章の見かけだけに頼らず表現しました。

確認する論点:近代論理学の発展で重要な『概念記法』の著者は

意義と指示対象

同じ対象を指す表現でも、その提示の仕方や理解は異なりえます。

確認する論点:フレーゲが名前などについて論じた重要な区別は

論理主義

フレーゲやラッセルの探究と関係しますが、数学の基礎には複数の立場があります。

確認する論点:数や数学の基礎を論理から考える立場は

ラッセル

特定の対象を記述する表現を、論理的にどう理解するかを検討しました。

確認する論点:確定記述の理論で知られる思想家は

『論理哲学論考』

初期と後期の著作では、言語への問いの重点が異なります。

確認する論点:ウィトゲンシュタインの初期の代表的な著作は

『哲学探究』

言葉が実際の生活の中でどう使われるかを問い直します。

確認する論点:ウィトゲンシュタインの後期の代表的な著作は

言語ゲーム

ゲームは単なる娯楽の意味でなく、多様な言語使用と実践の関係を表します。

確認する論点:後期ウィトゲンシュタインが言葉と活動の結びつきを考える概念は

家族的類似

すべての例が一つの特徴を共有しない場合にも、関係を理解できます。

確認する論点:一つの共通本質より、重なり合う似方を考える概念は

世界の事実を写す像

命題と現実の構造の関係を考える像の理論が重要です。

確認する論点:初期ウィトゲンシュタインの命題の説明に関わる考えは

方法や問題の差と交流の両方を調べる

分類を使いつつ、その内部の多様さや接点も検討します。

確認する論点:分析哲学と現象学を比較する際に適切なのは

08 / RESEARCH SOURCES

研究資料

人物・概念・著作の確認に用いる学術解説です。原典への書誌案内は各記事のBibliographyも参照してください。

全24章の目次