世界の宗教史 第2巻 / 世界宗教成立編
巻末まとめ
世界宗教・思想の成立
成立の歴史は一様ではありません。ユダヤ教の形成には王国と神殿をめぐる危機があり、インドの諸宗教では祭式・修行・解脱をめぐる問いが共有されつつ異なる答えが生まれました。中国の三教は人びとの実践の中で重なり、キリスト教はユダヤ社会から地中海の広い地域へ展開しました。
教えを残すには、伝える人と支える人が必要です。教師、僧、在家の信徒、教会、家庭、王権などが、その継承に関わりました。教典や教義も、長い編集・翻訳・討論を通じて形づくられました。完成した宗教が、そのまま歴史の出発点にあったわけではないのです。
次巻では、教えが地域を越えるとき何が起こるのかを見ます。仏教のアジアへの伝播、イスラム教の成立と拡大、中世の諸教会、日本の受容は、交易と国家を通じてつながっています。
本文を振り返る
この巻の主な年代
- 前2千年紀後半以降ヴェーダの伝統
口伝で讃歌と祭式が継承される。
- 前587/586年エルサレム神殿の破壊
バビロン捕囚はユダヤ教形成の大きな転機。
- 前6〜5世紀頃釈迦・孔子らの活動
南アジアと中国で、人間の生き方をめぐる教えが展開する。年代の確実さは人物ごとに異なる。
- 前3世紀アショーカ王の支援
碑文から王の政策をたどることができる。
- 1世紀キリスト教の成立
イエスへの信仰が地中海世界へ広がる。
- 70年第二神殿の破壊
ユダヤ教では学習・祈り・家庭の役割がさらに高まる。
- 313年キリスト教の公認
いわゆるミラノ勅令。国教化とは区別する。
- 325年/380年ニカイア公会議/国教化の転機
教義の形成と皇帝の政策が関わる。