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第1部 · 第5章

ギリシアとヘレニズム世界

前2千年紀〜前1世紀 / 地中海・西アジア

用語集
この章の目次
  1. 海とポリス
  2. 民主政の条件と限界
  3. 哲学と人間の問い
  4. 征服と文化の交流
  5. 年表
  6. 人物・重要事項
  7. 理解を確かめる

場所をつかむ

ギリシアとヘレニズム世界の主な地域12345
  1. アテネ
  2. スパルタ
  3. マケドニア
  4. アレクサンドリア
  5. ペルセポリス

位置関係を示す地図です。歴史的国境・支配領域を表す図ではありません。地形:Natural Earth(Public Domain)。

背景から変化へ

  1. 背景海上の交流とポリスの共同生活
  2. 展開 →市民の政治参加と哲学の問い
  3. 結果 →マケドニアの征服とヘレニズムの交流

考える視点:民主政にも排除があり、征服は文化交流と被害を同時に生む

1. 海とポリス

エーゲ海の島々や沿岸では、海上の移動が社会の形成に関わりました。ギリシアのポリスは、と周辺の農地を含む共同体です。政治の形や人々のは一様ではありません。アテネとスパルタを比べる際は、政治参加、軍事、教育、労働を誰が担ったかに注目します。

植民活動やは各地をつなぎ、や文字、文化の交流を広げました。ただし、植民する側だけでなく、現地の人々との関係も重要です。ポリスは周辺世界から切り離された小さなではありません。ペルシアなどの広いとの関係が、その政治や軍事を変えました。

2. 民主政の条件と限界

アテネでは市民の政治参加が発展しました。ペリクレスの時代はその全盛として知られますが、市民には女性、奴隷、在留外国人が含まれませんでした。直接政治に参加する仕組みと、現代の代表制やは異なります。という同じ言葉の中の違いを確かめましょう。

デロス同盟でアテネが強い力を持つと、同盟の協力と支配の境界が問題になります。パルテノン神殿の建設など文化の発展と、他からの負担は無関係ではありません。スパルタとの対立や戦争はポリスの社会に大きな影響を与えました。政治制度と対外関係を一緒に読む必要があります。

3. 哲学と人間の問い

ソクラテスは対話を通じて知識や善を問い直しました。本人の著作は残らず、弟子らの記録によって知られます。プラトンはイデアや正義を論じ、アリストテレスは観察や分類を含む幅広い研究を行いました。師弟関係があっても、考え方が同じだったわけではありません。

哲学や演劇、歴史の叙述はの公共生活と関わります。戦争、裁判、政治の判断などが、人間は何を知り、どう行動すべきかという問いを生みました。文化を「偉大な人物が生まれた」という説明で終えず、議論を支える教育や共同体の場を考えましょう。

4. 征服と文化の交流

アレクサンドロスの遠征はペルシアを倒し、広い地域に支配を及ぼしました。死後には王国が分かれます。ギリシアの文化と西アジア、エジプトなどの文化が交流するヘレニズム世界が広がりました。征服は交流だけでなく暴力や支配も伴うため、その双方を学びます。

新しいや宮廷は学問や芸術を支えました。数学、天文学、地理などの研究は、各地の知識の蓄積と結び付きます。アルキメデスの研究もその世界の中に位置付けられます。文化の広がりを一方向の伝播とせず、異なる地域の人々が作った新しい表現や知識として捉えましょう。

年表で流れを確かめる

  1. 前5世紀
    アテネ民主政の発展

    参加できる市民には制限があり、現代の普通選挙とは異なった。

  2. 前4世紀後半
    アレクサンドロスの遠征

    征服と文化の交流がユーラシア西部を結び付けた。

人物・重要事項を調べる

本文を読んだ後の復習や、言葉を調べるときに使えます。

ペリクレス

紀元前5世紀

アテネ民主政の全盛期を率い、パルテノン神殿の建設を進めた

古代ギリシアの政治家です。市民の政治参加を進めましたが、女性、奴隷、在留外国人は市民の権利を持ちませんでした。デロス同盟を背景にアテネの影響力が強まります。民主政の発展と、その限界や他都市との対立を合わせて理解しましょう。

ソクラテス

紀元前399年

対話を通じて知や善を問い、アテネで死刑に処された哲学者

自分が何を知っているかを問い直す姿勢を重視しました。本人の著作は残らず、弟子のプラトンなどの記録を通じて知られます。多数の人が信じる意見をそのまま受け入れず、言葉の意味や根拠を確かめる方法が哲学の発展に影響を与えました。

プラトン

紀元前4世紀

イデア論を説き、『国家』などの対話篇を書いた

ソクラテスの弟子で、アテネにアカデメイアを設けました。感覚で捉える世界と、普遍的なものとの関係を考えます。『国家』では正義や理想の政治について論じました。弟子のアリストテレスとは考え方が異なるため、師弟関係と思想の違いを整理しましょう。

アリストテレス

紀元前4世紀

論理学・倫理学・政治学・生物学などを体系的に研究した

プラトンに学び、アレクサンドロスの教育にも関わりました。アテネでリュケイオンを開きます。観察や分類を重視する研究は多分野に及びました。古代の学問では現在のような専門分野の境界が明確ではなかった点にも注目しましょう。

アレクサンドロス大王

紀元前330年

アケメネス朝ペルシアを倒し、東方へ大遠征を行った

マケドニアの王で、ギリシアから西アジア、エジプト、さらにインド方面へ進軍しました。遠征後、ギリシア文化と各地の文化が交流するヘレニズム世界が広がります。死後に帝国は分裂しました。征服の広さと、長期的な統治の安定を分けて考えましょう。

アルキメデス

紀元前3世紀

浮力やてこの原理などを研究したシラクサの学者

数学と力学にすぐれ、図形の面積や体積なども研究しました。浮力の法則は水中の物体に働く力を説明します。「ユーレカ」などの逸話には後世の伝承も含まれます。確かな研究内容と、人物を印象付ける物語を区別して覚えましょう。

アテネ民主政を完成させた人物は?

ペリクレス

前5世紀の黄金時代。

サラミスの海戦で勝利した側は?

ギリシア連合軍

テミストクレスが指揮。

古代ギリシアの都市国家を何という?

ポリス

アテネ、スパルタが代表。

アレクサンドロス大王の出身は?

マケドニア

東方遠征でペルシアを征服。

スパルタの教育の特徴は?

軍事教育

7歳からの厳しい訓練。

「国家論」を著した哲学者は?

プラトン

イデア論を唱えた。

ペロポネソス戦争で対立したのは?

アテネとスパルタ

前431〜404年。

アレクサンドリア大図書館がある地域は?

エジプト

ヘレニズム文化の中心。

スパルタクスの反乱は何か?

奴隷反乱

前73年の第三次奴隷戦争。

アリストテレスの学園は?

リュケイオン

逍遥学派。

ギリシア神話の最高神は?

ゼウス

オリンポスの主神。

古代ギリシアの「医学の父」は?

ヒポクラテス

「ヒポクラテスの誓い」。

トロイア戦争を描いた叙事詩の作者は?

ホメロス

「イリアス」と「オデュッセイア」。

古代ギリシアの「リュクルゴス」とは?

スパルタの伝説的立法者

軍国主義的な制度を確立したとされる。

古代ギリシアの「トゥキディデス」が記録した戦争は?

ペロポネソス戦争

「戦史」。客観的・科学的な歴史記述の先駆。

古代ギリシアの「ディオニュソス祭」から発展した芸術は?

演劇(悲劇と喜劇)

アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスが三大悲劇詩人。

古代ギリシアの「ピュタゴラス」の発見は?

ピュタゴラスの定理(直角三角形の辺の関係)

「万物は数なり」。音楽と数学の関係も研究。

ヘレニズム時代の「ストア派」の創始者は?

ゼノン(キティオンの)

アテネのストア・ポイキレ(彩色柱廊)で教えたことから命名。

古代ギリシアの「アルキメデス」の発見は?

浮力の原理(アルキメデスの原理)

「エウレカ(分かった)!」の逸話。シラクサの科学者。

古代ギリシアの「アクロポリス」の意味は?

高い丘の上の城塞・聖域

アテネのアクロポリスにパルテノン神殿がある。

ヘレニズム世界の共通語は?

コイネー(共通ギリシア語)

新約聖書もこの言語で書かれた。

古代ギリシアの「ペリパトス学派」とは?

アリストテレスの学派(リュケイオン)

「逍遥(ペリパトス)」しながら議論したことから命名。

古代ギリシアの「テルモピュライの戦い」の意義は?

少数のスパルタ兵がペルシア大軍を足止め

前480年。レオニダス王と300人のスパルタ兵。

古代ギリシアの「イソクラテス」が唱えたのは?

ギリシア統一によるペルシア遠征

マケドニアのフィリッポス2世に期待を寄せた。

古代ギリシアの「ペイシストラトス」は何者?

アテネの僭主(独裁者だが経済発展に貢献)

前6世紀。農民���支援し、アテネの文化事業を推進。

古代ギリシアの「エピクロス」の哲学は?

快楽主義(心の平静=アタラクシアを追求)

「隠れて生きよ」。政治参加を避け心の平穏を重視。

ペルシア帝国のペルセポリスを焼いたのは?

アレクサンドロス大王

前330年。復讐とも酔った勢いとも言われる。

古代ギリシアのテーベが覇権を握った期間は?

前371〜前362年

レウクトラの戦いでスパルタを破る。エパメイノンダスが指導。

古代ギリシアの「僭主」とは?

非合法に権力を握った独裁者

必ずしも暴君ではなく、民衆の支持で権力を握った者もいた。

アテネの陶片追放で必要な票数は?

6000票

僭主出現防止。追放10年。

アレクサンドロス大王の教師は?

アリストテレス

マケドニア王が招聘。

クレタ文明の宮殿は?

クノッソス

迷宮伝説の起源。

ペルセポリスを破壊したのは?

アレクサンドロス大王

前330年。イランに遺跡が現存。

古代ギリシアの喜劇作家は?

アリストファネス

「雲」「蜂」などの風刺劇。

アテネの陶片追放で必要な最低票数は?

6000票

僭主の出現を防ぐ民主的制度。

アレクサンドロス大王の東方遠征の最東端は?

インド(インダス川流域)

兵士の反乱で引き返した。

ミノア文明の中心都市は?

クノッソス

クレタ島。迷宮(ラビリンス)伝説の舞台。

ミケーネ文明を発掘した考古学者は?

シュリーマン

「アガメムノンのマスク」を発見。

ペルシア戦争のマラトンの戦いの勝者は?

アテネ軍

前490年。マラソン競技の由来。

古代ギリシアの「デルフォイの神託」とは?

アポロン神殿の巫女による予言

ギリシア世界の重要な意思決定に影響。

ヘレニズム三国に含まれないのは?

カルタゴ

三国はエジプト・シリア・マケドニア。

古代ギリシアの「ドラコンの法」の特徴は?

極めて厳格(些細な罪にも死刑)

「ドラコニアン」(厳格な)の語源。前621年。

古代ギリシアの医学者ガレノスの影響はいつまで続いた?

約1500年間(中世末まで)

解剖学と生理学の権威。ルネサンスまで疑われなかった。

テルモピュライの戦いで300人のスパルタ兵を率いたのは?

レオニダス王

前480年。ペルシア軍の侵攻を遅らせた。

「万物の根源は水である」と説いた古代ギリシアの哲学者は?

タレス

自然哲学の祖。ミレトス学派。

古代ギリシアの建築様式「ドーリア式」の特徴は?

太く力強い柱

パルテノン神殿に使用。

アレクサンドロス大王が師事した哲学者は?

アリストテレス

マケドニア王フィリッポス2世が招聘し、若きアレクサンドロスを教育した。

『国家』を著した古代ギリシアの哲学者は?

プラトン

ソクラテスの弟子で、イデア論を展開した。

古代ギリシアで直接民主政が発達した都市国家は?

アテネ

成人男性市民が民会に参加する直接民主政を採った。

クノッソス宮殿を中心に栄えたミノア文明の地域は?

クレタ島

エーゲ文明の一つで、青銅器時代に繁栄した。

ペロポネソス戦争で戦った二大勢力は?

アテネとスパルタ

紀元前431〜404年。スパルタの勝利でアテネの覇権が終わった。

紀元前73年にローマで奴隷反乱を指導した剣闘士は?

スパルタクス

反乱軍は一時ローマを脅かしたが、最終的に鎮圧された。

古代ギリシアの三大悲劇詩人に含まれないのは?

アリストファネス

アリストファネスは風刺喜劇で知られる喜劇作家。

紀元前3世紀に地球の周囲の長さを計算したギリシアの学者は?

エラトステネス

アレクサンドリア図書館長を務め、天体観測から算出した。

『歴史(戦史)』を著し、ペロポネソス戦争を記述した歴史家は?

トゥキディデス

厳密な史料批判の姿勢から「科学的歴史記述の祖」とも呼ばれる。

問答法を用いて「無知の知」を自覚させようとしたアテネの哲学者は?

ソクラテス

著作を残さず、その思想は弟子プラトンの対話篇を通じて伝わる。

サラミスの海戦でアテネ海軍を勝利に導いた政治家は?

テミストクレス

前480年、三段櫂船の海軍力を強化してペルシア艦隊を撃破した。

前338年、マケドニアのフィリッポス2世がアテネ・テーベ連合軍を破った戦いは?

カイロネイアの戦い

この勝利でマケドニアはギリシアの覇権を握った。

プトレマイオス朝がアレクサンドリアに設けた王立研究機関は?

ムセイオン

付属の大図書館とともにヘレニズム学術の中心となった。

ポリスの枠を超えて人類を一つの共同体とみなすヘレニズム期の思想は?

世界市民主義(コスモポリタニズム)

アレクサンドロスの大帝国の出現を背景に生まれた。

「ミロのヴィーナス」はどの様式に分類される作品?

ヘレニズム期のギリシア彫刻

19世紀にエーゲ海のメロス島で発見された。

『原論(ストイケイア)』で幾何学を体系化したアレクサンドリアの数学者は?

エウクレイデス(ユークリッド)

その体系は近代に至るまで幾何学の標準テキストであり続けた。

古代ギリシアの重装歩兵がとった密集隊形は?

ファランクス

盾と長槍を持つ市民兵が隊列を組んで戦った。

ギリシアとローマの英雄を対で描いた『対比列伝(英雄伝)』の作者は?

プルタルコス

後世の文学や思想に大きな影響を与えた。

『労働と日々』『神統記』を著した古代ギリシアの詩人は?

ヘシオドス

農民の生活と神々の系譜をうたい、ホメロスと並び称される。

古代において太陽中心説(地動説)を唱えたギリシアの天文学者は?

アリスタルコス

当時は支持されず、天動説が主流であり続けた。

スパルタを盟主とする、ギリシアの都市国家同盟は?

ペロポネソス同盟

アテネのデロス同盟と対立し、ペロポネソス戦争に至った。

プラトンがアテネ郊外に開いた学園は?

アカデメイア

その名は現代の「アカデミー」の語源となった。

前333年、アレクサンドロス大王がダレイオス3世を破った戦いは?

イッソスの戦い

ダレイオス3世は戦場から逃走し、家族が捕虜となった。

アレクサンドロス大王の死後、帝国の分割を争った後継者たちの呼称は?

ディアドコイ

争いの結果、帝国はプトレマイオス朝・セレウコス朝・アンティゴノス朝などに分裂した。

アカンサスの葉の装飾を持つ、ギリシア建築の柱の様式は?

コリント式

ドーリア式・イオニア式とともにギリシア建築の三様式をなす。

ミケーネ文明で使われ、ヴェントリスが解読した文字は?

線文字B

解読の結果、古いギリシア語を記していたことが判明した。

古代ギリシアでポリスが成立する際の「集住」を意味する語は?

シノイキスモス

アクロポリスを中心に人々が集まり都市国家が形成された。

前3世紀半ば、ギリシア系住民が中央アジアに建てた王国は?

バクトリア

セレウコス朝から独立し、ヘレニズム文化を東方に伝えた。

アレクサンドロス大王の死後、マケドニアを支配した王朝は?

アンティゴノス朝

前168年、ローマに敗れて滅亡した。

『地理誌』を著した古代ローマ時代のギリシア人地理学者は?

ストラボン

当時知られていた世界の地理を集大成した。

ギリシア神話で海を司る神は?

ポセイドン

ゼウス・ハデスと並ぶ三大神の一柱で、三叉の矛を持つ。

理解を確かめる

本文を閉じて、この章の「背景 → 展開 → 結果」を自分の言葉で説明してみましょう。誰にどんな変化があったかも加えると、説明が具体的になります。

アテネ民主政を完成させた人物は?

ペリクレス

前5世紀の黄金時代。

サラミスの海戦で勝利した側は?

ギリシア連合軍

テミストクレスが指揮。

古代ギリシアの都市国家を何という?

ポリス

アテネ、スパルタが代表。

アレクサンドロス大王の出身は?

マケドニア

東方遠征でペルシアを征服。

世界史の一問一答へ

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