世界の宗教史 第5巻 / 近代・現代編

巻末まとめ

国家・社会と宗教

近代・現代の宗教史は、宗教が公的な社会から一方的に退いた歴史ではありません。国家による再編、迫害と抵抗、新しい運動、移民の共同体など、さまざまな形が生まれました。信教の自由は宣言されるだけでは十分でなく、生活の中でどう保障されるかが問われ続けています。

全5巻を通じて見てきたのは、教えと社会の相互関係です。宗教は政治・経済・文化の条件に影響される一方、人びとの行動、制度、芸術、共同体の形成にも働きかけました。成立・伝播・分岐・改革をつなげると、世界史の出来事が別々の暗記事項ではなくなります。

ここからは総合年表へ戻り、同じ時期の異なる地域と、遠く離れた時代のつながりを確かめてください。新しい史料や異なる立場の説明に出会ったときも、誰が、いつ、どのような状況で語ったのかを問うことが、この教科書から次の学びへ続く道になります。

本文を振り返る

  1. 第1章近代化と宗教 ― 自由・国家・世俗化
  2. 第2章近代日本の宗教 ― 神仏分離から戦後へ
  3. 第3章20世紀 ― 民族主義・迫害・人権
  4. 第4章現代世界と宗教 ― 歴史を今につなぐ
  5. 巻末まとめ

この巻の主な年代

  1. 1789年/1791年
    人権宣言/米国憲法修正第1条

    宗教上の意見や実践の自由が権利として明文化される。

  2. 1868年
    日本の神仏分離

    神社と寺院の関係が国家によって再編される。

  3. 1933〜1945年
    ナチ体制による迫害とホロコースト

    ナチ・ドイツと同盟者・協力者が約600万人のユダヤ人を殺害。

  4. 1947年
    日本国憲法施行

    信教の自由と政教分離を保障する新たな制度。

  5. 1947年
    インド・パキスタンの分割独立

    政治的な境界の形成が宗教共同体の生活を大きく変えた。

  6. 1948年
    世界人権宣言

    第18条に思想・良心・宗教の自由を掲げる。

  7. 1956年
    アンベードカルの仏教改宗

    差別からの解放を求める運動と信仰の選択。

  8. 1963年/1965年
    宗教間の協力と関係の見直し

    米国の宗教と人種に関する会議/ノストラ・エターテ。

  9. 20〜21世紀
    移動・多様化・宗教間対話

    宗教と社会の関係は今も変化している。