PART 06 / CHAPTER 21

第21章
高度成長と福祉国家

冷蔵庫と学校が、暮らしを変える。

第二次世界大戦後の数十年欧米・日本など暮らし・仕事・分配
OPENING PICTURE / PART 6

豊かさの、その先へ

技術と市場暮らしの時間環境と分配

所得だけでなく、時間・ケア・環境から経済を見直す。

本書独自の象徴的な挿絵。特定の都市・時代の復元図ではありません。数値のない折れ線は統計を表していません。
01 / READ THE HISTORY

生産が伸びると、暮らしはどう変わるか

戦後の一部の地域では、生産と所得が大きく伸び、住宅、家電、自動車、教育などへの支出が広がりました。高い成長は、投資、技術の普及、人口と雇用、国際的な条件が関わる過程です。すべての国と家庭が同じ経験をしたわけではありません。冷蔵庫や洗濯機の普及も、電力、水、住宅の条件と結びつきます。

商品を持つことと、その商品を使える生活の基盤を分けて考えると、成長の中身が見えてきます。

02 / READ THE HISTORY

社会保障が分ける危険

病気、失業、老いによって収入が減る危険を、家族だけで引き受けるか、社会の制度で分担するかは重要な違いです。税、保険料、給付、公共サービスは、危険を分ける方法になります。福祉国家という名称の中にも、対象、財源、家族の役割に違いがあります。米国の1935年社会保障法のように、戦前からの制度も戦後の議論を支えます。

制度の成立、拡張、除外された人々を区別して読みます。

03 / READ THE HISTORY

家電とケアの時間

家電は特定の作業の時間を減らす場合がありますが、家事やケアの負担が自動的に平等になるわけではありません。求められる家事の水準、家族の人数、就業、公共の保育や介護の条件が関わります。女性の教育と就業の変化を読むときも、家庭の中の仕事と、働く機会の制度を一緒に見る必要があります。

賃金のある仕事だけを経済と呼ぶと、毎日の生産を可能にする生活の仕事が背景へ消えてしまいます。

04 / READ THE HISTORY

成長の利益と、環境の負担

生産と消費の増加は、資源、交通、土地、廃棄物の量にも関わります。工場や都市の拡大が健康と生活を損なう場合、所得の伸びだけでは評価できません。利益を得る人と被害を受ける人が違うこともあります。成長を無条件に善いとすることも、生活改善の意味をすべて否定することも避けます。

何が改善し、何が負担として残り、制度がどう対応したかを、複数の指標と記録から読んでいきます。

家のレンズ

洗濯機で浮いた時間は、誰の時間?

架空の家庭で洗濯の手間が減ったとします。その時間を休息に使うか、賃金労働に使うか、別の家事に使うかで影響は違います。時間を誰が使うかを決める権限も重要です。技術の便利さと、家庭の中の配分を分けることで、商品がもたらす変化を丁寧に考えられます。

VISUAL NOTE

しくみを図で読む

生活を支える制度

  1. 01働いて収入を得る
  2. 02税と保険料を分担する
  3. 03給付とサービスを使う
  4. 04家族と個人の危険を減らす
制度の対象と財源は国で異なる。無償のケアがどこに残るかも読む。
関係を整理する模式図です。規模・量・時間の比率を示す統計図ではありません。

学習用の模型で、条件を動かしてみる →

A USEFUL DISTINCTION

ここを区別する

家電が増えれば、家事の不平等は解決?

作業の時間と、仕事の割当、期待、決定権は別です。技術と制度、家庭の関係を一緒に考えます。

THINK FROM YOUR LIFE

自分で考える

豊かさを所得以外でも測るなら、時間、健康、教育のどんな条件を調べたいでしょうか。

自分の説明と、それを支える理由を書き出してみてください。決まった一つの答えを選ぶ問いではありません。
WORDS & IDEAS

基本用語

社会保障

病気、失業、老いなどの危険に、給付やサービスで対応する制度。対象と財源に違いがあります。

福祉国家

国家が生活の保障に大きな役割を担う仕組みの総称。一つの制度だけを指すわけではありません。

生活水準

食、住居、健康、利用できる物やサービスなどの条件。平均所得と同じ一つの数字ではありません。

SOURCES TO EXPLORE

資料を読む

資料の性格と読むポイントを示します。一次資料を扱うリンクでも、目録や解説を介して本文に進むものがあります。本書の文章は独自の解説で、原資料の逐語訳ではありません。

全24章の目次