働く時間を、誰が決める?
生産の拡大と、人々の労働・国家の制度を同じ画面で読む。
本書独自の象徴的な挿絵。特定の都市・時代の復元図ではありません。数値のない折れ線は統計を表していません。通貨と金を結ぶ
金本位制では、通貨の価値を一定の金の量と結びつけ、金への交換などの制度を整えます。複数の国が同じような約束を持つと、通貨間の関係が安定しやすくなります。遠い相手との支払いで為替の不確実さが減ることは、貿易と投資の助けになります。ただし各国がいつも同じ制度を厳密に運用したわけではありません。
参加の時期、金融機関、国家の対応に違いがあります。
国際収支と国内の生活
国外への支払いが増え、金や資金が流出すると、通貨の交換の約束を守るための対応が求められます。金利や信用の条件が変わると、国内の事業と雇用にも影響します。国際的な安定を優先する選択が、国内の不況への対応を制約する場合があります。対外的な約束と暮らしの安定が、いつも同じ方向に働くとは限りません。
金融の制度を、銀行の中だけの問題として読まないことが必要です。
資金の移動は、機会と依存を作る
国外から資金を得られれば、鉄道、事業、政府の活動を進められる場合があります。その一方、借入の返済と、資金を提供する側の判断に影響されます。資金が急に引き上げられると、生産の見通しとは別に資金繰りが難しくなることもあります。貯蓄を世界で結びつける利点と、信用の連鎖の脆さを併せて考えます。
国内の通貨で稼ぐことと、別の通貨で返すことの差も重要です。
制度を離れる選択
大きな危機のもとでは、金との結びつきを維持するか、国内の政策の余地を広げるかが争点になります。国々が金本位制を離れ、通貨のまとまりが変わる過程には、経済と政治の判断が関わります。固定的な為替と変動する為替には、それぞれの利点と難しさがあります。どちらかを永遠の正解にせず、貿易、雇用、資金移動のどんな条件で選ばれたかを検討します。
仕事のレンズ
輸出する店と、働く町
架空の輸出企業にとって、為替が安定すれば注文の計画を立てやすくなります。しかし交換の約束を守るために国内の信用が厳しくなれば、設備投資や雇用が難しくなる場合もあります。同じ制度の利益と負担は、立場と状況で違います。為替の安定と、経済全体の安定を区別するための例です。
しくみを図で読む
対外的な約束と国内
- 01通貨の約束を持つ
- 02国際的な支払いを行う
- 03資金と金の動きに対応する
- 04国内の信用と雇用が影響を受ける
関係を整理する模式図です。規模・量・時間の比率を示す統計図ではありません。
ここを区別する
金と結べば、金融危機は起きない?
銀行の信用、資金の移動、事業の失敗などの危険は残ります。価値の約束と、経済の全リスクを区別します。
自分で考える
外国との支払いの安定と、国内の雇用の安定が衝突したら、どんな基準で考えるでしょうか。
自分の説明と、それを支える理由を書き出してみてください。決まった一つの答えを選ぶ問いではありません。基本用語
金本位制
通貨と金を結びつける制度。交換と運用の条件は時代と国で異なります。
為替
通貨同士を交換する際の関係や価格。商品の値段、国際的な支払いに関わります。
国際収支
一国と国外の取引を記録する枠組み。何が取引され、どの形で支払われたかを分けて読みます。
資料を読む
資料の性格と読むポイントを示します。一次資料を扱うリンクでも、目録や解説を介して本文に進むものがあります。本書の文章は独自の解説で、原資料の逐語訳ではありません。
- 中央銀行解説
貨幣の種類と働き ↗Bank of England読みどころ:交換手段、価値尺度、保存の機能。現代の説明を貨幣の唯一の起源にしない。
- 中央銀行の制度史
イングランド銀行の歴史と金との交換 ↗Bank of England読みどころ:金と通貨の交換を、中央銀行の制度の変化から読む。
- 経済史研究解説
スターリング圏の制度史 ↗Economic History Association・EH.net読みどころ:金本位制を離れる過程と通貨の関係。国と時期の違いを読む。
- 教育・研究解説
世界経済と国際的なつながり ↗CORE Econ読みどころ:貿易、移動、グローバル化の仕組み。平均的な利益と分配を区別する。