ITパスポート試験(通称:iパス)は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施する国家資格。ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべき基礎知識を問う、経済産業省認定の情報処理技術者試験の中で最も入門的な位置づけの試験。
問題数:100問(4肢択一)
試験時間:120分
受験資格:なし(誰でも受験可能)
合格基準
総合評価点600点以上/1000点満点に加え、3分野それぞれの評価点も300点以上/1000点が必要。1分野でも極端に低いと総合点が高くても不合格になる点に注意。
出題は3つの分野(ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系)から構成される。
| 分野 | 内容 | 出題比率の目安 |
|---|---|---|
| ストラテジ系 | 企業活動、法務、経営戦略、システム戦略 | 約35問 |
| マネジメント系 | 開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント | 約20問 |
| テクノロジ系 | 基礎理論、コンピュータ構成、システム構成、技術要素(DB・NW・セキュリティ) | 約45問 |
- 用語の意味を「正確な定義」ではなく「他と区別できる特徴」で覚える
- ストラテジ系は暗記中心、テクノロジ系は仕組みの理解が中心
- 計算問題(損益分岐点・2進数など)は毎回パターンが似ているので数問解けば型がつかめる
- 過去問演習で「選択肢の言い換え」に慣れることが得点への近道
企業の社会的責任
コーポレートガバナンス:企業経営を監視・統制する仕組み
コンプライアンス:法令遵守
ステークホルダー
企業活動に利害関係を持つ人々をステークホルダーという。株主・従業員・取引先・顧客・地域社会などが該当する。
企業の組織形態
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 職能別組織 | 営業・製造・経理など機能ごとに部門化した組織 |
| 事業部制組織 | 製品や地域ごとに独立採算の事業部を置く組織 |
| マトリックス組織 | 機能別と事業別を組み合わせた組織(指揮命令系統が2系統) |
SWOT分析
自社の内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を整理するフレームワーク。
| 区分 | 内部環境 | 外部環境 |
|---|---|---|
| プラス要因 | Strength(強み) | Opportunity(機会) |
| マイナス要因 | Weakness(弱み) | Threat(脅威) |
PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)
市場成長率と市場占有率の2軸で事業を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」に分類し、経営資源の配分を検討する手法。
マーケティングミックス(4P)
| 4P | 内容 |
|---|---|
| Product(製品) | 何を売るか |
| Price(価格) | いくらで売るか |
| Place(流通) | どこで売るか |
| Promotion(販促) | どう知らせるか |
損益分岐点
売上高と総費用(固定費+変動費)が等しくなる、利益がゼロになる売上高のこと。
財務諸表の基本
| 書類 | 示す内容 |
|---|---|
| 貸借対照表(B/S) | ある時点の資産・負債・純資産の状態 |
| 損益計算書(P/L) | 一定期間の収益・費用・利益 |
| キャッシュフロー計算書(C/F) | 一定期間の現金の増減(営業・投資・財務活動) |
知的財産権の分類
| 区分 | 権利 | 保護対象 |
|---|---|---|
| 産業財産権 | 特許権 | 高度な発明 |
| 実用新案権 | 物品の形状などの考案 | |
| 意匠権 | デザイン | |
| 商標権 | 商品・サービスの名称やロゴ | |
| 著作権 | プログラム・文章・音楽など創作物 | |
| 法律・制度 | 内容 |
|---|---|
| 労働基準法 | 労働条件の最低基準を定める |
| 労働者派遣法 | 派遣労働者の就業条件を定める |
| 個人情報保護法 | 個人情報の適正な取り扱いを義務づける |
| 不正競争防止法 | 営業秘密の侵害などを規制 |
| 製造物責任法(PL法) | 製品の欠陥による損害の賠償責任を定める |
経営とITの融合
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| BPR | 業務プロセスを根本から見直し再設計すること |
| ERP | 企業の経営資源(会計・人事・生産等)を統合管理するシステム |
| SOA | 業務機能をサービス単位で組み合わせるシステム設計思想 |
調達の流れ
システム導入時、発注者は情報提供依頼書(RFI)で情報を集め、提案依頼書(RFP)で具体的な提案を求める。契約時にはサービスレベルを取り決めたSLA(サービスレベル合意書)を結ぶことが多い。
開発の基本工程
要件定義 → 外部設計 → 内部設計 → プログラミング → テスト → 運用・保守、という流れが基本。
開発モデルの比較
| モデル | 特徴 |
|---|---|
| ウォーターフォールモデル | 工程を順番に進める。手戻りが起きにくい設計だが仕様変更に弱い |
| アジャイル開発 | 短い期間(スプリント)で開発とリリースを繰り返す。仕様変更に強い |
| プロトタイピングモデル | 早い段階で試作品(プロトタイプ)を作り、利用者の確認を得ながら開発 |
WBS:作業を階層的に分解した構成図
ガントチャート:作業の日程を横棒で表す進捗管理図
クリティカルパス:プロジェクト全体の所要期間を決める最長の作業経路
ITサービスマネジメント
ITILは、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたガイドライン。サービスデスク(利用者からの問い合わせ窓口)もここに含まれる。
内部統制とシステム監査
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 内部統制 | 企業が業務を適正に行うための社内の管理・チェック体制 |
| システム監査 | 独立した立場の監査人が情報システムを点検・評価すること |
| 監査証跡 | 監査の際に証拠となる記録(ログなど) |
基数変換
コンピュータは情報を0と1の2進数で扱う。10進数の13は2進数で1101と表される(8+4+0+1=13)。
論理演算
| 演算 | 読み方 | 結果が真になる条件 |
|---|---|---|
| AND | 論理積 | 両方とも真のとき |
| OR | 論理和 | どちらか一方でも真のとき |
| NOT | 否定 | 入力を反転(真⇔偽) |
| XOR | 排他的論理和 | 入力が異なるとき(片方だけ真) |
フローチャートの基本記号
処理の流れを図で表すフローチャートでは、長方形=処理、ひし形=条件分岐、平行四辺形=入出力を表す。
基本的なデータ構造
| 用語 | 特徴 |
|---|---|
| スタック | 後入れ先出し(LIFO)。最後に入れたデータを最初に取り出す |
| キュー | 先入れ先出し(FIFO)。最初に入れたデータを最初に取り出す |
| 配列 | 同じ型のデータを連続した領域に並べたもの |
コンピュータの五大装置
| 装置 | 役割 |
|---|---|
| 入力装置 | データを取り込む(キーボード等) |
| 出力装置 | 結果を表示・出力する(ディスプレイ等) |
| 記憶装置 | データやプログラムを保持する(メモリ・ストレージ) |
| 演算装置 | 計算を行う(CPU内) |
| 制御装置 | 各装置に指示を送る(CPU内) |
CPUとメモリ
CPU(中央処理装置)は演算装置と制御装置をあわせ持つ、コンピュータの頭脳にあたる部分。処理速度はクロック周波数で表される。メモリは主記憶装置(RAM)と補助記憶装置(SSD・HDD)に大別され、RAMは電源を切るとデータが消える揮発性という特徴を持つ。
| 種類 | 役割 |
|---|---|
| OS(基本ソフトウェア) | ハードウェアを管理し、アプリが動く土台を提供 |
| ミドルウェア | OSとアプリの中間に立ち、共通機能を提供 |
| アプリケーションソフトウェア | 特定の目的のために使うソフト(表計算・ワープロ等) |
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| クライアントサーバシステム | サービスを提供するサーバと、要求するクライアントに役割分担する構成 |
| クラウドコンピューティング | インターネット経由でサーバ・ストレージ等の資源を利用するサービス形態 |
| 仮想化 | 1台の物理サーバ上に複数の仮想的なサーバを構築する技術 |
信頼性を高める仕組み
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| デュアルシステム | 同じ処理を行う2系統を用意し、結果を照合する構成 |
| デュプレックスシステム | 主系と待機系を用意し、故障時に待機系へ切り替える構成 |
関係データベースの基本用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 主キー | レコードを一意に識別する項目 |
| 外部キー | 他の表の主キーを参照する項目。表同士の関連づけに使う |
| 正規化 | データの重複や矛盾を防ぐため表を整理すること |
SQLの基本
データベースを操作する言語をSQLという。データを取り出す際はSELECT文を使う。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| LAN | 建物内など限られた範囲のネットワーク |
| WAN | LAN同士を結ぶ、地理的に広い範囲のネットワーク |
| TCP/IP | インターネットで使われる標準的な通信プロトコル群 |
| IPアドレス | ネットワーク上の機器を識別する番号 |
身近なプロトコル
| プロトコル | 用途 |
|---|---|
| HTTP/HTTPS | Webページの閲覧(HTTPSは暗号化あり) |
| SMTP | メールの送信 |
| DNS | ドメイン名とIPアドレスを対応づける仕組み |
完全性(Integrity):情報が改ざんされず正確である
可用性(Availability):必要なときに情報を利用できる
代表的な脅威
| 脅威 | 内容 |
|---|---|
| マルウェア | ウイルス・ワームなど悪意あるソフトウェアの総称 |
| ランサムウェア | データを暗号化し身代金を要求するマルウェア |
| フィッシング | 偽サイトなどで個人情報をだまし取る行為 |
| DoS攻撃 | 大量の通信を送りサーバをダウンさせる攻撃 |
| 標的型攻撃 | 特定の組織・個人を狙う攻撃 |
代表的な対策
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| ファイアウォール | 外部からの不正アクセスを遮断する仕組み |
| WAF | Webアプリケーションを狙う攻撃を防ぐ仕組み |
| 暗号化 | データを第三者が読み取れない形式に変換すること |
認証の強化
パスワードなど「知識」に加え、スマホの認証コードなど「所持」、指紋など「生体」を組み合わせて認証する仕組みを多要素認証という。
暗号化方式の比較
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 共通鍵暗号方式 | 暗号化と復号に同じ鍵を使う。処理は速いが鍵の受け渡しに注意が必要 |
| 公開鍵暗号方式 | 暗号化と復号に異なる鍵(公開鍵・秘密鍵)を使う。鍵配送問題を解決できる |
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