簿記2級 完全攻略テキスト
商業簿記+工業簿記の全範囲を、仕訳例・図解・要点でやさしく徹底解説。独学合格をサポートする無料テキストです。
株式会社は株式を発行して資金を集める。払込まれた金額は原則として全額を資本金とするが、会社法の容認規定により払込金額の2分の1までは資本金とせず資本準備金(株式払込剰余金)とすることができる。
→ 払込額200,000円の2分の1(100,000円)を資本準備金とできる
容認:2分の1までを資本準備金にできる(=資本金は最低でも2分の1)。
株式申込証拠金と創立費・開業費・株式交付費
募集株式では、申込証拠金を別段預金で管理し、払込期日に資本金等へ振り替える。会社設立までの費用は創立費、設立後〜開業までは開業費、増資の新株発行費用は株式交付費で処理する(いずれも原則費用処理、繰延資産計上も可)。
株主総会の決議で繰越利益剰余金などを財源に配当する。配当決議時はまだ支払っていないので未払配当金(負債)を計上する。
任意積立金
株主総会決議により、繰越利益剰余金から別途積立金・新築積立金などの任意積立金を積み立てる。目的達成時(新築完了など)には取り崩して繰越利益剰余金に戻す。
| 区分 | 例 | 分類 |
|---|---|---|
| 法定準備金 | 資本準備金 / 利益準備金 | 会社法で積立て強制 |
| 任意積立金 | 別途積立金 / 新築積立金 | 株主総会の任意 |
| 繰越利益剰余金 | 未処分の利益 | その他利益剰余金 |
吸収合併では存続会社が消滅会社の資産・負債を受け入れる。パーチェス法により受入資産・負債は時価で評価する。
逆に取得原価<受入純資産なら 負ののれん発生益(特別利益)。
のれんは20年以内に定額法などで規則的に償却し、のれん償却は販売費及び一般管理費に計上する。
自己株式
自社の株式を取得したものが自己株式。純資産の部で株主資本の控除項目(マイナス)として表示する。取得時の手数料は取得原価に含めず支払手数料とする。処分時の差額はその他資本剰余金で調整する。
2級では売上原価対立法(販売のつど法)を学ぶ。仕入時に商品(資産)を増やし、販売のつど売価で売上を計上すると同時に、原価分を売上原価へ振り替える。
→ 売上(売価)と売上原価(原価)を同時に計上。決算の「しくりくりし」は不要
クレジット売掛金
クレジット払いの販売では、代金の請求先が信販会社になるためクレジット売掛金で処理する。信販会社への手数料は支払手数料とする。
当社の当座預金勘定残高と銀行の残高証明書残高が一致しない原因を整理する表。修正が当社側か銀行側かを見極めるのがポイント。
| 調整項目 | 内容 | 修正する側 |
|---|---|---|
| 時間外預入 | 夜間金庫等で銀行が未記帳 | 銀行側(修正仕訳不要) |
| 未取立小切手 | 取立依頼したが銀行が未取立 | 銀行側 |
| 未取付小切手 | 振り出したが銀行で未引落 | 銀行側 |
| 連絡未通知 | 入金/引落の連絡が未達 | 当社側(修正仕訳) |
| 未渡小切手 | 作成したが未交付 | 当社側(当座を戻す) |
| 誤記入 | 記帳ミス | 誤った側 |
受取手形は満期前に裏書譲渡(他人へ渡す)や割引(銀行で換金)ができる。割引時の割引料は手形売却損で処理する。不渡りとなれば不渡手形へ振り替える。
電子記録債権・債務
電子記録債権は電子債権記録機関の発生記録で効力が生じる。売掛金を電子記録債権に、買掛金を電子記録債務に振り替える。手形と違い分割譲渡も可能。
売上債権に対し、差額補充法で貸倒引当金を設定する。当期末の見積額 − 期末残高 を繰り入れる。
→ 500,000×2%=10,000、10,000−4,000=6,000を補充
当期に発生した債権が当期に貸し倒れた場合は、引当対象外なので全額貸倒損失。過年度に貸倒処理した債権を回収したら償却債権取立益。
有価証券は保有目的で4つに分類し、評価方法が異なる。
| 分類 | 評価 | 評価差額の扱い | 表示 |
|---|---|---|---|
| 売買目的有価証券 | 時価 | 当期の損益(有価証券評価損益) | 流動資産 |
| 満期保有目的債券 | 取得原価/償却原価 | (原則評価替えなし) | 投資有価証券 |
| 子会社・関連会社株式 | 取得原価 | 評価替えなし | 投資有価証券(関係会社株式) |
| その他有価証券 | 時価 | 純資産(評価差額金) | 投資有価証券 |
売買目的は決算で時価評価し、差額を有価証券評価損益(営業外)とする。
その他有価証券(全部純資産直入法)
時価評価するが、差額は損益にせずその他有価証券評価差額金(純資産)とする。税効果を考慮し、翌期首に洗替え(再振替)を行う。
満期保有目的の債券は原則取得原価。ただし取得差額が金利調整差額のときは償却原価法を適用し、差額を満期まで毎期有価証券利息に加減する(2級は定額法中心)。
→ (100,000−96,000)÷5年=800を利息に加算し帳簿価額を増やす
端数利息
利付債券を利払日以外に売買すると、前回利払日の翌日から売買日までの端数利息を授受する。取得原価には含めず有価証券利息で処理する。
割賦(分割払い)購入では、支払総額と現金購入価額の差額が利息相当額。取得原価に含めず前払利息等で区別する。建設中の支払は建設仮勘定(減価償却しない)。
圧縮記帳(国庫補助金)
補助金受取時は国庫補助金受贈益。直接減額方式では固定資産圧縮損を計上して取得原価を補助金分だけ減額する(=以後の減価償却費が小さくなり、課税が繰り延べられる)。
除却:使用をやめ処分。処分価値は貯蔵品で計上し、残りを固定資産除却損。廃棄:処分価値なしで帳簿価額全額が廃棄損。
買換え
旧資産を下取りに出し新資産を購入。まず旧資産の下取価額と帳簿価額の差で固定資産売却損益を認識し、下取価額を新資産の代金に充当する。
リースはファイナンス・リース(実質的な売買=解約不能・フルペイアウト)とオペレーティング・リース(賃貸借)に分類。
| 処理 | 資産・負債 | 費用 |
|---|---|---|
| ファイナンス・リース | リース資産・リース債務を計上 | 減価償却+(利子抜き法は)支払利息 |
| オペレーティング・リース | 計上しない | 支払リース料のみ |
利子抜き法:見積現金購入価額で計上し、支払時に元本と支払利息を区分。
ソフトウェア・研究開発費
自社利用ソフトで将来の収益獲得・費用削減が確実ならソフトウェア(無形固定資産)に計上し、利用可能期間(原則5年以内)にわたり定額法・残存ゼロ・直接法で償却する。研究開発費は発生時に費用処理(繰延資産不可)。
引当金は①将来の費用・損失 ②当期以前の事象に起因 ③発生可能性が高い ④金額を合理的に見積れるの4要件を満たすときに計上する。
| 引当金 | 内容 | 費用計上区分 |
|---|---|---|
| 退職給付引当金 | 将来の退職給付の当期負担分 | 退職給付費用(販管費) |
| 修繕引当金 | 将来の修繕に備える | 修繕引当金繰入 |
| 賞与引当金 | 翌期賞与の当期負担分 | 賞与引当金繰入 |
| 商品保証引当金 | 無償保証の見積 | 商品保証引当金繰入 |
会計上の利益と税務上の課税所得の一時差異を調整し、税金費用を適切に期間配分する。永久差異(交際費の損金不算入など)は対象外。
将来加算一時差異 → 繰延税金負債。相手勘定は法人税等調整額。
→ 40,000×30%=12,000。将来減算一時差異なので繰延税金資産
税抜方式:支払った消費税は仮払消費税、受け取った消費税は仮受消費税。決算で相殺し、仮受>仮払なら差額を未払消費税とする。
法人税等の中間納付は仮払法人税等、決算で確定額から差し引いた残りを未払法人税等とする。
外貨建取引
外貨建取引は取引発生時の為替相場で換算。外貨建ての売掛金・買掛金など貨幣性項目は決算時の為替相場で換算替えし、差額を為替差損益とする。前払金・前受金など非貨幣性項目は換算替えしない。
報告式の損益計算書は段階的に5つの利益を計算する。
| 利益 | 計算 |
|---|---|
| 売上総利益 | 売上高 − 売上原価 |
| 営業利益 | 売上総利益 − 販売費及び一般管理費 |
| 経常利益 | 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用 |
| 税引前当期純利益 | 経常利益 + 特別利益 − 特別損失 |
| 当期純利益 | 税引前当期純利益 − 法人税等 ± 法人税等調整額 |
期末商品は棚卸減耗損(数量不足)と商品評価損(収益性低下)を認識する。
製造業では原価計算の結果を用い、売上原価は当期製品製造原価から計算する。
本支店会計
本店・支店の内部取引は照合勘定で記録する。本店には支店勘定、支店には本店勘定を設け、両者は貸借逆・同額で一致する。合併財務諸表では本店・支店勘定や未実現の内部利益を相殺消去する。
親会社は原則すべての子会社を連結する(支配力基準:議決権の過半数所有など)。連結財務諸表は企業集団を単一の組織体とみなして作る。
連結会社間の内部取引を消去する。
| 項目 | 処理 |
|---|---|
| 内部債権債務(売掛金⇄買掛金等) | 相殺消去 |
| 内部取引高(売上⇄仕入) | 相殺消去 |
| 子会社→親会社の配当 | 受取配当金を消去 |
| 期末在庫の未実現利益 | 消去して繰延べ |
アップストリーム(子→親):親会社持分と非支配株主持分に按分負担。
子会社の当期純利益は持分比率で按分し、非支配株主帰属分を非支配株主持分に加える。連結損益計算書では当期純利益を親会社株主帰属分と非支配株主帰属分に区分表示する。
製造原価は形態別に材料費・労務費・経費、製品との関係で製造直接費・製造間接費に分類する。
間接費 → 製造間接費に集計 → 配賦して仕掛品へ。
完成 → 製品 → 販売 → 売上原価。
材料費:消費量×消費単価(先入先出法・平均法)。素材費・買入部品費は直接、工場消耗品費は間接。予定単価を使うと材料消費価格差異が出る。
労務費:直接工の直接作業時間×消費賃率が直接労務費。手待時間・間接作業時間や間接工賃金は間接労務費。予定賃率で賃率差異。
経費:外注加工賃・特許権使用料は直接経費。減価償却費・電力料などは間接経費。支払・月割・測定・発生経費に分類できる。
製造間接費は特定製品に直課できないので配賦する。実務では予定配賦で計算を迅速化する。
受注生産に適した方法。製造指図書ごとに原価を集計する。月末に未完成の指図書原価が月末仕掛品、完成分は製品へ振り替える。
直接材料費は材料出庫票、直接労務費は作業時間報告書で各指図書へ直課。製造間接費は配賦率で配賦する。
製造間接費をより正確に配賦するため、原価を部門別に集計する。製造部門(切削・組立など)と補助部門(動力・修繕・工場事務)に分ける。
| 手続 | 内容 |
|---|---|
| 第1次集計 | 部門個別費を直課+部門共通費を配賦 → 各部門費 |
| 第2次集計 | 補助部門費を製造部門へ配賦 |
| 製造部門費の配賦 | 部門別配賦率で各製品(指図書)へ |
相互配賦法:補助部門間の授受も考慮。
階梯式配賦法:優先順位をつけ一方向に配賦。
同種製品を大量生産する場合の方法。一定期間の製造費用を完成品と月末仕掛品に按分する。
| 評価方法 | 考え方 |
|---|---|
| 平均法 | 月初+当月を合算し平均単価で按分 |
| 先入先出法 | 月初仕掛品を先に完成、月末は当月投入分から計算 |
工程別:前工程の完成品原価を前工程費として次工程へ引き継ぐ(累加法)。前工程費は次工程の始点投入と同様に扱う。
組別:異種製品を組別に区分。組直接費は各組へ直課、組間接費は配賦。
等級別:同種だが大きさ・品質が異なる製品。等価係数×生産量=積数の比で完成品原価を按分する。
仕損(不良品)・減損(材料の消失)が正常な範囲なら、その費用は良品の原価に負担させる。
始点・平均的発生:完成品と月末仕掛品の両方が負担。
異常仕損・減損費は非原価項目(良品に含めない)。
計算方法には、減損量を無視して自動的に良品へ負担させる度外視法と、別個に計算する非度外視法がある。
あらかじめ定めた標準原価で計算し、実際原価との差異を分析して原価管理に役立てる。
直接労務費差異=賃率差異+時間差異。
製造間接費差異=予算差異+能率差異+操業度差異(三分法)。
記帳方法は、仕掛品を実際原価で記入するパーシャル・プランと、標準原価で記入するシングル・プランがある。
原価を変動費と固定費に分け、変動製造原価のみを製品原価とする(固定製造原価は期間費用)。内部管理目的の方法で、制度上の外部報告は全部原価計算による。
売上・原価・利益の関係を分析する。損益分岐点は営業利益がゼロ(貢献利益=固定費)となる点。